はじめに
中医学から見ると、人の体質は8つに分けられます。健やかに生きるには、暮らしの中で心がけると良いポイントが異なるのですが、ふと、「ほぼどの体質の人にでもおすすめできるような、簡単な養生法はないかな?」と考えるようになりました。そして「プチ養生」をまとめ、わかりやすいようにイラストにしました。
そもそも養生とは何だろう?
養生とはその名の通り「生きるを養う」こと。自分の体の調子を整え、健康増進する方法です。中国、春秋戦国時代の楚の思想家である老子と莊子がいた頃、食べ過ぎや飲み過ぎを控えて規則正しい生活を送ろうという考え方が生まれました。それを、江戸時代の本草学者で儒学者の貝原 益軒(かいばら えきけん)が著書「養生訓」で、自らの実体験をふまえ日本人向けわかりやすく説いて日本に広めました。
その中で益軒は、「長寿を全うするには、精神を鍛え体を養生する必要がある」と説いています。基本は食事や睡眠などシンプルなものばかり。「養生」という言葉を耳にするのは初めて!という人にも、取り組みやすいのではないかと考えていますます。
それではプチ養生、行ってみましょう~!!
1.なるべく23時までに寝る
中医学では、時間ごとに働きが活発になるという考えがあり、それを「子午流注(しごるちゅう)」と呼びます。その中で23時から1時までは胆、1時から3時までは肝が新陳代謝を行う時間で、この時間に寝て体を休ませると病気になりにくいと言われています。逆算して22時頃から寝床に入る支度をすると余裕を持つことができます。食事や入浴も早めにすませてスマホもほどほどにし、リラックスモードで過ごしましょう。
2.冷たい飲食物や甘味、刺身など胃腸に負担のかかる物はほどほどにする
丈夫な胃腸は健康長寿の要です。冷たい飲食物、生野菜や刺身などは体を冷やすので、摂りすぎに注意しましょう。砂糖や果糖などは体に不要な水分を貯めると考えられています。不要な水分がお体に停滞すると「痰(たん)」と呼ばれる粘っこい物質へと変化します。吹き出物や寝起きの体のだるさなどの不調の原因になりますので、甘味はサツマイモやカボチャなど自然の甘さのものに変えてみるなど、色々工夫してみましょう。
3.お散歩で頭と体をリフレッシュ
お散歩のリズム運動によりセロトニンが分泌されると、生活リズムが整うと言われています。朝10時までの明るい光を浴びるとより効果が期待できます。セロトニンの原料となるトリプトファンを含むバナナや納豆などを食べるのもおすすめです。
4.物事を考えすぎず今を楽しむ
どの感情も、行き過ぎると体を傷つける
喜ぶ、怒る、憂う、思う、悲しむ、恐れる、驚く。
人生では嬉しいことや悲しいこと、ストレスなど、色々な感情の波があると思います。これらの感情が強すぎたり長時間続くと人間が生理的に調節できる範囲を超えてしまい、体を傷つける時があると中医学では考えます。これを「内傷七情」と呼びます。
理想は中庸(ちゅうよう)
貝原益軒は著書養生訓のなかで、「養生の道は中庸を守らねばならぬ」と説いています。理想は中庸(ちゅうよう)です。中庸とは両端のどちらにも偏らないことを指します。現代はまさにストレス社会と言えると思いますが、そんな中でもご自分がなりがちな感情を見つめ、瞑想やヨガなど心を整える方法でリセットする術を身につけると良いのかも知れません。
5.体を冷やさないようにする
体の熱は皮膚からも奪われる
冷やさないためには、温かい飲食物を摂って体の中から温めたり、カイロや入浴などで体の外から温めることは有名ですね。それでも温まらないという人は、体を温める力が足りない「陽虚(ようきょ)」という体質かもしれません。洋服で皮膚を覆い、なるべく熱を逃さないことを意識するようにしてください。
おわりに
どれも楽に行える事ばかりかと思うので、ぜひ日々の暮らしに取り入れてみてください。じっくり取り組むことで、少しずつ体が楽になってくると思います!